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最優秀作品

「本当の幸」への追求

中学1年 有吉 里莉子さん

 この物語を何度読んでも変わらないのは、そこから想像させられる色鮮やかな映像だ。美しい桔梗色の空、赤く光る蝎の火、たくさんの豆電燈がついたまっ青な木。すべての場面が私の中で映画のフィルムのように映し出され、思わずジョバンニやカムパネルラと共に銀河鉄道に乗って旅をしているような気分になる。

 また、この二人の少年が銀河での素晴らしく、美しい風景の中で、様々な人々と出合い、不思議な体験をしながらそれぞれに考え、成長していく場面も好きだ。少年達の幼い感情が描かれる場面は私と共通していた部分もあり、また、それがいけないことだと気づくと、思い直して前に進んで行く所にも共感できるからだ。

 中でも、銀河鉄道の旅の途中、天上に行く小さな女の子に聞いた蝎の話に私は心惹かれた。それは、たくさんの虫の命をとって生きてきた蝎がいたちに捕られそうになった時に偶然井戸に落ちてしまった。その時、こんなにむなしく命をすてずに、いたちが生きていくために自分の命をあげればよかったと、自己中心的な考えから改心し、みんなの幸のために自分の体を使ってほしい、と神様に頼むのだ。すると、蝎の体はまっ赤な美しい火になって、夜の闇を照らしているという話だ。二人の少年はこの話の蝎と自分自身を重ね合わせ、より深くみんなの本当の幸について考えていったのだろう。

  しかし、このように深い絆を持った少年達は別れる運命になっていることをジョバンニだけに与えられた緑の切符が告げている。ジョバンニはカムパネルラとの楽しかった時間、友情、共に旅した銀河鉄道の思い出を胸に抱きながら、元の世界に戻り、鼠色の切符を持ったカムパネルラはお母さんのいる天上に行き、それぞれに新しい道を進んでいくことになる。そこで元の世界に戻ったジョバンニはカムパネルラが友人を助けて命を落としたという悲しい事実を受け入れなければならない。だが、私はこの事実が決して悲しいというだけで終わらないと思った。むしろ新しい希望さえ見出せるのではないだろうか。なぜなら、銀河鉄道の旅の途中で彼らは「どんなつらいことでも、それが正しい道を進む中での出来事なら、本当の幸福に近づく一あしずつです」という燈台守の言葉を聞いているのだ。私はジョバンニがこれから様々な困難と対峙していきながら、みんなの本当の幸に向かって進んで行く事を願っている。それはジョバンニが銀河鉄道の乗客や赤く光る蝎と自分自身を重ね合わせたように、私もジョバンニと自分自身を重ね合わせて考えるようになっているからだ。

 私は自分以外の人の本当の幸というのは人それぞれに違うものだと思っている。だからまず、相手に対して思いやる心を持つ事が、最も大切だと思う。それが独り善がりであったり、押し付けになったりしてはいけないのだ。自分以外の人の本当の気持ちを理解するのは難しい。しかし、私はジョバンニと同じように、峠の上り下りを繰り返しながら一歩ずつ成長していきたい。