スクールライフ

TOP > スクールライフ > 読書感想文

 スクールライフINDEX

  • クラブ紹介
  • 学校生活の思い出
  • 合格体験記
  • 研修旅行記
  • 読書感想文
  • スクールカレンダー

読書感想文

目次へ戻る 次の作品へ

人の成長

高校2年 Y・Tさん

 二百ページもない短い小説。しかし、読むことでわかるこの小説の中身の深さ。僕は、その内容を理解するために、何度も何度もこの本を読んだ。

 ピアニシモ、この本は僕にいろいろなことを教えてくれた。主人公の透、正直生きている世界が、僕とは全く違う。もしかしたら、僕と透の共通点など、一つもないかもしれない。でも、透の立場になって「僕だったら、こうする」と考えることならできる。そうすることで、僕と透との違いが出てくる。この違いを見つけることが、この本を理解するための鍵となった。

 敵だらけの教室、崩壊寸前の家庭、孤独な日々を過ごす透が、現実を否定するようにして作ったもう一人の自分、ヒカル。僕も小学生の時、転校したことがあるが、すぐに友達を作りたいと思った。自分を認めてくれる存在が欲しいと思うのは、皆同じだろう。透もその思いがあったから、ヒカルという存在を作ったのだろう。一人で生きていける人間など絶対にいない。誰かの助けを借り、自分の足を一歩ずつ前に進めることが「成長」だ。透は、ヒカルの力を借りているだけで自分の力は使っていない。使おうともしていなかった。そんな透が自分を変えるために必要なもの、それは自分が熱中できるものだと僕は思う。透は孤独だ。僕も、高校へ入学した当初はクラスの数人の友達以外、いなかった。透とは状況が違うかもしれないが、クラスを出れば孤独だ。でも、僕にはバスケットボールがあった。バスケットは僕にとって、赤の他人を友達に変えてくれる唯一の物だ。そんな物が一つでもあれば、人は孤独になどならない。透だって、僕のように熱中できるものがあればヒカルという存在を作り出さなくてよかったと思う。

 そんな中、透がヒカル以外に初めて心を許した友達、サキ。サキを僕は本当に許せなかった。伝言ダイヤルの中で、人をだまし傷つけるという行為が普通であったとしても、人を嫌な気持ちにさせた以上、悪いことである。

 世の中では、全く見たこともない人とメールで知り合い、それをメル友と呼んでいる人がいる。僕は、そんな世の中が恐い。メールで簡単に友達を作れるのなら、孤独になる者などいない。人は、他人としっかり向き合って認め合って、初めて友達になると僕は思う。

 そして、透はとうとう自分が成長していないことに気付く。サキに自分の信じていたヒカルを否定され、学校でもいじめられ続け、結局透は何も変わっていない。ここで、透が本当の自分と向き合う。僕は、透が成長したように思えた。自分と向き合うことで、透は勇気を振り絞ったはずだ。これが成長だ。

 最後に、もう一人の自分であるヒカル。いつも前に立ち続けていたヒカルを透は消したいと思い、叫び続けた。この叫びは、自立することへの決心、つまり透が希望を見つけた瞬間のように僕は思えた。

 僕は、このピアニシモという小説を読んで改めて世の中の厳しさを感じた。透が最後に言っていた通り、自分一人で成長していかなければならない。友達の手を借りることもあるだろうけど、自分の人生は自分で決めなければならない。失敗は当然あるが、その失敗を越えることで何かが変わるはずだ。これからの人生、僕も前へ前へと進み続ける。