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『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を読んで

高校2年 R・Tさん

 主人公・ホールデンと私は同い年だ。なのに、生活の仕方や考え方がホールデンと私では全く違っていた。例えば、ホールデンは寮に住んでいて、勝手に学校を辞めたり、毎晩夜遊びをしたりするのだ。どうしてそんな事をするのか全然理解できないな、と思う反面、私は少しだけホールデンがうらやましかった。確かに、生活は荒れてて最悪かもしれない。だけど、自分に素直に生きているような気がした。周りには認められなくて、上手くいかない生き方だけど、十代のうちしかできない生き方だと思った。私は今、平凡でどこの人ともほとんど変わらない生活をしている。ホールデンは今の私のような生活が嫌になったんじゃないかな、と思う。だから平凡な暮らしをしている他の人が許せないんじゃないかと思った。

 そんな非日常的な暮らしをしているホールデンには妹がいた。ホールデンにとって妹は、唯一落ち着いて本音を話せる人だと思う。私には兄弟がいないのでどうしてそこまで歳の離れた人に心を許せるのか分からなかったけど、それはきっと血が繋がっているからだと思う。最後には、ホールデンは妹がいるから、家に帰ってきた。ホールデンにとって妹は一番大きい存在だと思った。

 『ライ麦畑で出会ったら』という誌を、ホールデンはずっと『ライ麦畑でつかまえて』と思っていた。妹とその話をしていてホールデンは初めて自分の夢を話した。「広いライ麦畑で崖から落ちそうになる子どもをかたっぱしからつかまえるんだよ。ぼくはただそういうものになりたいんだ。」その文を読んだとき私は初めて主人公のことが分かった気がした。やっぱりホールデンは自分に素直だと思った。そして、周りに影響されて自分が分からなくなるのが嫌なのか、とも思った。自分に素直であればあるほど、大人や周りからは批判される。大人になりかけているホールデンにはその矛盾に納得がいかなかったのでは、と思う。確かに、大人になるほど周りの目を気にしなくちゃいけないし、周りに合わせなくちゃならない。でも、真っすぐに生きろ、と大人は言う。「どうしたらいいん!?」と思う人もいれば「それが大人なんだな…。」と思う人もいる。どっちかといえばホールデンは前者で、私は後者だ。

 この本の一番最後のページで、ホールデンは少し大人になったことが分かる。学校にも行き、平凡に暮らしている。だけど、ホールデンと私の違うところはここに訪り着くまでの過程だ。大人達に疑問をもって、自分らしく生きてきたホールデンは、例え少し道がはずれていたとしてもすごいと思う。そしてその矛盾と葛藤している時間が、ホールデンをより成長させたのだと思う。

 私は今、部活や勉強に必死で、大人になることなんて全然考えられない。というのか考えようとしていなかったのかも知れない。でもこの本を読んで「大人になること」「自分になること」と向き合ってみようと思う。その向き合った時間の分、私は成長できるのだから。