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M・Tさん
はじめて訪れる国-----大韓民国-----。あらかじめ,事前学習で歴史・現在の国の状況を学んでからこの研修旅行に臨んだ。しかし現地を訪れてみると,言葉では表すことのできない,体や心で感じるものがたくさんあった。
私がこの研修旅行で一番興味を持っていたこと。それは板門店ツアーだ。日々の報道で『北朝鮮の国民が韓国に亡命した』など,何回か耳にしたことはあった。だがそこがどのような地なのか。とても関心があった。国境ではなく,軍事境界線というものに,いまいちピンとこなく,どんなものなのか不思議でしかたなかった。
実際に現地を訪れてみた時,恐怖心というものが私の中に芽生えはじめた。バスの中に軍人が乗り込んできて,一人一人のパスポートをチェックしている時のことだ。内心そこまでする必要ないだろうと思っていたのが本音だ。だが,DMZに入る前,文書に署名させられた時,この地がどのぐらい危険で,死と隣り合わせの場所なのであると,改めて現状況の重みを痛感させられた。自由の家から見える共同警備区域は,空気が重たく緊張感が漂っていた。軍事停戦委員会本会議場に足を踏み入れた時,まっ先に,国連側の軍人が目についた。足を肩幅以上に広げ,力強く拳を握っていた。見ていて少しかわいそうに思えた。彼らはどんな思いでこの場を警備しているのだろう…写真を撮っている時も,申し訳ない気持ちでいっぱいだった。また,その本会議場から見える軍事境界線は,ただのコンクリートの固まりにしか思えなかった。だがこの一線を越えると違う国であり,『亡命』になる。そう思うと複雑な気持ちだった。日本は島国のため,そのような境遇になることはない。改めて日本は安全で治安がいいんだなと思った。
その後私たちは軍事境界線の見える丘に行った。右を見れば北朝鮮。左を見れば韓国。両国の国旗が風に靡いていたのが目に焼き付いている。そこから見える北朝鮮の大きな建物。だがそれは見せかけにすぎない。そこまでして国を大きく,強く見せたいものなのか。北朝鮮の国の在り方に憎悪を抱いた。だがこれが現実なのである。この現状を受け止めるしかなかった。
今回研修旅行に行き,このような貴重な体験ができて本当に良い勉強になった。もう人生で二度と訪れることのできない場所なのであるから。いつ戦争が再開してもおかしくない状況の中で日々の生活を送っている人々は不安と恐怖でいっぱいだろう。この二国が戦争することなく国境線を引くことは可能なのだろうか。また時間はかかるかもしれないが,戦いをしないで国境線のなくなる日が一日も早く訪れてくれることを願うしか私にはできない。世界平和は不可能かも知れないが,日常生活の中での『相互理解』というものを大事にしていこうと思った。