2020/05/23

ことばの贈り物 2020/05/23

穏やかな日差しが降り注ぐ週末を迎える。動画授業配信と分散登校を掛け合わせたver.2.5αシステムの1週間が過ぎた。全生徒の表情を確認するため、生徒の迎え入れを教員と一緒に毎日行った。体調の質問や動画授業の感想などを尋ねながら、和やかな時間が流れる。

高校1年生3年コースの生徒は、個人写真撮影があったり提出物の提出があったり。初めての登校で、緊張は隠し切れない。友達もいないし、先生も初めてだし、制服もさらっぴんだし、革靴の靴擦れが出来るし……。

そんな中、新入生の高校1年、3年コース生に、こんな話をした。

本当だったら、今頃は「中間テスト」が終わって、答案返却がなされている時分。とてつもなく広い試験範囲と半端ない科目数。中学とは比べ物にならない濃密さを前に、一夜漬けなんて全く通用しないことを実感。
中学の定期テストなら、5教科平均が85点だとか90点を取っている人がほとんどだろうけれど、今回の答案返却の点数を見てびっくり。56点、63点、72点といったこれまであまりお目にかからないような点数が付けられて答案が返却される。高校生活の厳しい洗礼を受けて、少し打ちのめされる。そんな時分なのだが……。
そんなことを経験しないまま、5月を終えようとしている。どうして、高校の勉強は大変なのか?それはキミたちが通り過ぎた高校入試が、大阪府下の生徒同士で競い合う「大阪府大会」だとすれば、大学入試は、全国50万人の同年齢の人たちで競い合う「全国大会」。全国大会に出場するには、それなりのトレーニングが必要なのは、みんなにも想像できるだろ?
だから、全国大会で勝ち抜くには、大会当日から逆算して、今この時期にここまで出来ていないと間に合わないということを、各教科で確認しながら出題する。当然範囲は広いし、科目数も多くなってしまう。
誤解を恐れずに言えば、高校入試で必要な英単語が1000だとすると、大学入試ではあと3000語が必要。つまり、中学3年間で学んだ量を、高校の1年間で仕上げていかなければならない。これまでの3倍の情報処理スピードが求められる。
だけど、そればかりではなく、高校生活の「文化祭」や「体育大会」や「球技大会」や「ホームルーム活動」や「クラブ活動」は、中学生活以上にきっと楽しいはず。濃密な3年間を過ごしてほしい。青春を燃えつくしてほしい。でも、やはり勉強中心の生活は大原則。
これまでは塾に行って、時間管理や進路調整を任せていたけれど、今はそれを自らの意思でやらねばならない。キミたち一人一人の「主体性」が求められる。だけどそれこそが、高校生活で獲得してほしい基本的な姿勢。泉ヶ丘で一緒に楽しみながら、時には悩み、苦しみながらも、かけがえのない時間を過ごしてほしい。

そんな話をした。生徒たちの輝く瞳に、限りない可能性を感じた。