2020/07/31

ことばの贈り物 2020/07/31

7月最後の一日。どうやら梅雨も明けたとやら。コロナの陽性反応者の数値が全国的に上昇の一途をたどっている。夜間の飲食の休業をお願いする自治体も。医療現場がひっ迫する可能性も秘めている。経済活動と感染防止。相矛盾する課題に再び人類の英知が試されている。
 
そんな中、先日中学校の「道徳」の授業で、陽性と疑わしき人が身の回りにいたと想定する課題に取り組んだ。はっきりしたことは分からないけれど、あなたは1週間後、そんなクラスメイトが登校して来たとき、どんな態度で臨みますか?各自が考えて意見を述べ合っている教室に私も少し覗いてみた。
 
以下、生徒たちの意見の一部。
「まだ、はっきりしたことが分からないのだから、普通に接します」
「やっぱり…正直、少し遠ざけてしまうかな?」
「特別視することは良くないことだと分かっているけれど、少し意識するかもしれない」
「その場に立ってみなければ、よく分かりません」
「SNSでの発信といった興味本位の行動はしてはいけないと思う」などなど。各クラスで様々な意見が出てきた。そんな中で指導する先生方から次のような質問が投げかけれれる。
 
「そんな、客観的な他人事のような意見を求めているわけではない。大切な視点は、キミがそういった陽性と疑われる仲間に対してどう接するべきか、なんていくら考えても本当のあるべき姿は見いだせないんじゃない?そうではなくて、キミ自身が、陽性かもしれないという中で、自宅待機している生徒自身だと考えなさい。そして、キミ自身が1週間後に久しぶりに学校に登校して来たと考えてみなさい。」
 
「キミはこの1週間、病気の不安にさいなまれながら過ごして来た。そしてやっとキミは本日学校に登校できることになった。その時、キミは仲間から、クラスのみんなからどんな声掛けや接し方をしてほしいかな?キミは自分の窮状に対して、仲間に何を求めるのかな?そういった当事者意識がない限り、キミたちの意見はどこか建前に過ぎないという感が否めないけどどうかな?」
 
そんな先生からの熱い意見の後、クラス内でさらに深い学びと活発な意見交換がなされた。詳細は省略するが、大切なことは相手の立場になって物事を捉えること。自らが当事者意識を持つこと。これは、難しいことかもしれないけれど、人間関係を構築する際の重要な考え方。そんなことに、生徒たちも少し気付いたような気がした。とてもいい学びの機会であった。