2022/08/30

旧友Mとの想い出 3

夏の小旅行レポート3日目である。お付き合い願いたい。
-------------------------------------------------------------------------

バス出発まで、あと1時間。ダメもとで、も一度Mの自宅に連絡した。すると通じた。「少しだけでも会わないか?」快く彼は、大急ぎで駅前までやってきてくれた。夜行バスをキャンセルして、今夜は我が家に泊って行けと、再三言われたけれど、「また今度にするよ」と言って、駅前の居酒屋で、夜行バス出発ギリギリまで盃を交わしていた。
 
「じゃあ、帰るよ」、そう言って彼と別れ、私は夜行バスに揺られ大阪に向かった。旧友との再会に、どこか晴れやかな気分になっていた。
 
再会から2年後。彼が帰らぬ人となったという突然の報に触れた。仕事を終えて、夜中に車を飛ばして彼の自宅に駆け付けた。そこには坊さんのように頭を丸めて、静かに瞼を閉じた彼がいた。その穏やかな表情を眺めながら、必死に病と闘っていたことが知れた。

大学時代の仲間たちも何人か詰めかけていた。「すみません、明日の葬儀には、仕事があって、出られません」。傷心のご家族に頭を下げて、明け方近く、信州を後にして、大阪に戻った。私と会った2年前、既に病状は悪化しており、次の年の春から休職を余儀なくされたと知った。