2023/04/08

2023年度高等学校入学式 式辞です 3

本日無事始業式を終えた。いよいよ2023年度1学期の開幕である。コロナ後のニューノーマル時代にどのような不易流行の判断を下すのか。それが2023年度の大きな課題である。では、高等学校入学式の式辞。3日目をお送りしたい。お付き合い願いたい。
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この広場には、全国から18歳の若者たちが集まってきますから、その数はおびただしいもの。ざっと50万人の人たちが一挙に集まってきます。そこにはもちろん、同じ学校の仲間もいるし、中学時代の懐かしい友達の姿も見えます。少しドローンを飛ばして、その様子を上空から眺めてみますと、豆粒のような無数の人だかりが、広場に集結しています。

広場を埋め尽くす多くの人たちが、その進路に立ちはだかる扉の前にたたずみながら、どうやら扉に書かれた文字を読んでいるようです。そして、一人、また一人と堅く閉じられた扉の前で、上着の右ポケットに入っているあなただけのオリジナルキーを持ち出し、扉を開けて中に入ろうとするんです。その作業が、18ページの真ん中辺りから終わりに掛けて、約半年間繰り広げられるようです。

では少し、扉を開けようとしている人に近づいて、詳しくその様子を観察してみましょう。みんな無言のまま、自分がここだ!と思う扉の前に立ち、それぞれの上着の右ポケットに入っている鍵を静かに取り出し、鍵穴にその鍵を差し込み、左に回そうとします。カチッと音がして鍵が回れば、ほっと笑顔を浮かべ、中にひとりだけ入ることが許されているようです。

鍵が回らなければ、少し複雑な表情を浮かべ、また別の扉の前に立って、扉に書かれた文字を読んで、鍵を開ける試みをします。ひとり、またひとりと扉の中に入っていく人の姿が見えます。ようやく自分の探していた扉の前に立ったあなたは、緊張しながらも、深呼吸をひとつ。そして、鍵穴にそっと鍵を差し込み、鍵を回します。果たして、鍵はカチッという音を立てて、回るのか、それとも回らないのか。

さあ、「18歳広場」の御伽噺はここまでにしておきましょう。

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本日はここまで。明日は最終回である。