2024/03/19

ごあいさつ 

これまでお世話になりましたすべての皆様へ

2024年3月末の2023年度終了を持ちまして、帝塚山学院泉ヶ丘中学校高等学校の学校長ならびに学校法人帝塚山学院の理事の職を辞することとなりました。思えば、私と学院との出会いは、2009年4月より3年間にわたり、泉ヶ丘中高の生徒募集業務のコンサルティングでお世話になるところから始まりました。その後、2012年からは別の私学で4年間、学校長の経験を積み、縁あって2017年4月より本校副校長、2018年4月より学校長を拝命し、微力ながら泉ヶ丘中高の発展のために、多くの皆様のお力をお借りしながら、お仕事させていただきました。

ここまで1期3年の校長任期を2期にわたり、6年間お世話になりましたが、この度、退任する決断をいたしましたことをご報告いたします。学校長として6年間、コロナ禍という難題にも直面いたしましたが、何とか皆様のご助力のおかげで、乗り越えることが出来ました。また少し立ち遅れておりました「教学改革」にも積極的に取り組んで参りました。

「開かれた学校の実現」を目指し、有識者(法曹界・塾関係者など)や同窓会、PTA役員、地域自治会、学院関係者といった人たちにご参加願い「学校運営協議会」を、就任早々立ち上げました。全保護者の皆様を対象としました「保護者アンケート」の結果を元に、本校の取り組みを毎年ご報告し、保護者の皆様から頂戴した評価やご意見を、次年度の運営に生かす形で、組織の高次化を図って参りました。保護者の皆様から頂戴しますご評価も、年々上昇し、我々自身の大きな励みとなりました。

就任一年目の2018年度からは、ICT教育の推進に数年の歳月を費やし邁進してまいりました。タブレットやソフトの選定と導入後、授業での活用は言うに及ばず、動画配信や諸連絡のデジタル化が徐々に実現してまいりました。また、同年は新たに「進路指導部」をリニューアルし「進学指導特色校」としての立ち位置の確立に努めました。規範意識の向上という本校課題を解決するために「生徒指導部」の刷新にも努めました。

翌年2019年度には、新たに「国際教養部」を立ち上げ、グローバル社会の広がりにおける本校の取り組みとして、国際交流、海外語学留学に力点を置き、「ターム留学」を新設。ネイティブ教員の積極的な活用も実現してまいりました。

また、期を一にして「企画部」を新設し、「感動・感謝・共感の実現」を目標に、「ココロの学校」を企画し、多くの保護者の皆様からご賛同を頂戴いたしました。これまでにジャーナリスト安田菜津紀氏(2018年)、パラリンピック出場の伊藤真波氏(2019年)、途上国支援の第一人者山口絵理子氏(2019年)、盲目の落語家桂福点氏(2020年)、アドベンチャーランナー北田雄夫氏(2021年)、7本指のピアニスト西川悟平氏(2022年)、説法師の祖父江佳乃氏(2023年)といった皆様からお話を頂戴いたしました。いずれの皆様も、人生において大きな挫折経験を有しながらも、諦めることなくチャレンジし続け、今も第一線で活動される方ばかりで、子どもたちに勇気と感動を与えることが出来ました。

さらに「中学部」「生徒会」という組織を立ち上げ、その中で生徒の成長に寄り添う学校行事や主体的活動の在り方といったものを再構築し、年々見直しを図ってまいりました。制カバンのリニューアル、制定靴下の新調などが実現されてきております。また、泉ヶ丘祭における中学「合唱コンクール」も年々盛り上がりを見せ、保護者の皆様との感動の共有が果たせるまでに成長いたしました。

2020年度以降、コロナ禍が猛威を振るう中、子どもたちの安全を最優先するがゆえ、学校行事の実現が思うに任せなかった時期もありますが、できるだけ行事の実現にも腐心し、新たな取り組みへの挑戦も留まることなく、推進してまいりました。

施設面では、夏の熱中症対策としての体育館の空調設備工事や飲料水の確保、情報科を充実させるための「ラーニング・スタジオ」の新設、さらに理科実験室の改修工事や食堂のリニューアル、中庭人工芝化による生徒への開放などなど、多岐にわたり多くの皆様のご賛同を得る中で、施設改修を行ってまいりました。

そうは申しましても、まだまだ「教学改革」は道半ばであります。考えてみますと、もともとは民間企業の出身であり、学校教育の常識にあまり捕らわれないようなマネジメントでした。帝塚山学院という100年以上の伝統においては、きっと異質な存在であったと自覚しております。その点で、現場に混乱を招いたこともあるかと思いますが、全ては「子どもたちの成長のために」という一心でここまで突っ走って参りました。今日まで、多くの皆様にご迷惑やご不安を感じさせてしまったかもしれません。多々至らぬ点がございましたことを、この場をお借りしまして、深くお詫び申し上げます。

次年度より、さらにこれらの活動を、新たな若い執行部が中心となり、本校教職員が一体となり、実現されていくことを期待しております。引き続き、温かく見守ってくだされば幸いです。

皆様方に置かれましては、今日まで大変お世話になっておきながら、その御礼を直接述べることもできず、こうして書面にてのご挨拶とお別れになることを、大変心苦しく感じております。しかしながら、子どもたちの成長は待ったなしです。立ち止まっている猶予はありません。これからも、本校の教育にご理解とご支援を賜りますよう、引き続きよろしくお願い申し上げます。

まことに簡単ではございますが、これで私の退任の挨拶とさせていただきます。長らくのお付き合い、誠にありがとうございました。

 
2024年 3月吉日
学校法人帝塚山学院 理事
帝塚山学院泉ヶ丘中学校高等学校 校長
江口宗茂




本日まで長らくお付き合い下さいました「ことばの贈り物」。任期満了に伴う退任に付き、こちらの方も本日を持って「終刊」とさせていただきます。長らくのお付き合いに、改めて感謝です。また、いつかどこかでお会いする機会がありましたら、その時はよろしくです。ありがとう!
 
江口宗茂