ことばの贈り物
─ 校長通信 ─

2020/08/26

昨日「進路の手引き」が完成して届けられたとご紹介した。その巻頭言に私も言葉を差し上げたのだが、巻末には進路指導部長の高橋賢一先生が言葉を贈られている。とてもいい言葉なので、少し長いが本日はご紹介したい。タイトルは「受験は競争なのか」である。

--------------------------------------------------------------------------------------
進路指導に携わっていると、勢いたくさんの受験生と接することになる。最難関の「T大」を受験したが思い通りの結果を得ることが出来なかったその生徒は、中期・後期試験まで受験し、全ての結果が出た後で進路室に挨拶に来てくれた。
 
「もしK大を受験していたら、合格していたかもね。」
私の意地悪な問いに、その生徒はこう答えた。
「子どもの頃から憧れていたT大を受験できたことは自分の誇りです。本当に感謝しています。ありがとうございました。」と。
 
驚いた。その生徒は苦しい受験を通して、明らかに次のステージへと進化していた。初めて話をした6月初旬から、この数か月で、何と目を見張るほどの成長を遂げたことよ!全身に走る「感動の電流」を味わいながら、私はいつものように「受験」は少年・少女を「青年」に進化を遂げる通過儀礼なのだとしみじみ実感する。
 
第一志望にチャレンジすることを決意し、自分の出来る最大限の努力を続ける。自分の能力の限界を嫌というほど知らされ、不安と孤独に押しつぶされそうになりながら、黙々と歩き続ける。そんな受験生は、清々しい潔さを感じさせてくれる「勇者」である。そして、キミがどれくらい頑張れるか、どれくらい成長できるかを評価されるものと考えるなら、受験はある意味「絶対評価」なのである。
 
「偏差値」や「GTZ」という「相対評価」の池にどっぷり浸かっている我々は、ふと「受験」という青春時代最大の難事業を、他者との競争であると矮小化して捉えがちだ。勿論、そういうニュアンスも必要であるし、重要である。ただ忘れないでほしい。目標に向かって自己分析し、生活を自律的にマネジメントし、弱点を克服するために工夫を怠らない、その姿勢こそがキミたちを確実に大人の階段へと導いてくれていることを。
 
今年も、来年も、私はいつでも「勇者」たちの活躍を期待している。この「進路の手引き」がそのための一助となることを願いながら。

--------------------------------------------------------------------------------------
ご紹介は以上である。お付き合いに感謝である。

一覧に戻る