【校長通信】一つの歌声に重なる、それぞれの思い――合唱コンクールを終えて
今年は、全クラスが発表に参加することができました。これは一見すると「当たり前」のように思えるかもしれません。しかし、私は、決して当たり前のことではないと思っています。
クラス全員が同じ方向を向き、一つの曲を仕上げ、みんなの前で発表する。そこに至るまでには、きっと一人ひとりの思いや、クラスの中でのさまざまな出来事があったはずです。そして今年、実際にステージで聴かせてもらった歌声からは、そうした積み重ねがしっかりと伝わってきました。中学1年生は、初めて立つ大きな舞台です。
緊張している様子もありましたが、それぞれのクラスが一生懸命に歌声を響かせてくれました。
「今の自分たちにできる最高の合唱を届けよう」
そんな気持ちが伝わってくる発表でした。
そして中学2年生になると、歌声にも、舞台に立つ姿にも、少しずつ「先輩」としての風格が出てきます。今年、特に私が驚いたのは、この中学2年生の合唱でした。
例年、合唱コンクールでは中学3年生が圧倒的な歌声を聴かせてくれることが多いのですが、今年は中学2年生と中学3年生との差が本当に小さく感じられました。中学2年生の歌声が、それほど素晴らしかったということです。もちろん、中学3年生も素晴らしい合唱を聴かせてくれました。
これまでの2年間で積み重ねてきたものがあり、声の重なりや表現力には、やはり上級生としての力を感じました。今年の合唱コンクールを通して、改めて感じたことがあります。
それは、この合唱コンクールが、泉ヶ丘校の大切な文化として、少しずつ根付いてきているということです。音楽の先生方をはじめ、各学年の担任の先生方も、本当に一生懸命、生徒たちと練習に取り組んでくれました。
生徒たちだけでは、ここまでの合唱にはなりません。
先生方が一緒になって悩み、声をかけ、時には励ましながら、生徒たちと一緒に積み上げてきた時間があったからこそ、あのステージが生まれたのだと思います。
そして、もう一つ印象に残った光景があります。
私は、保護者席の間に設けられた来賓席で、生徒たちの合唱を聴かせてもらいました。
学年が上がるにつれて、保護者の方々の表情も少しずつ変わっていきました。
特に中学3年生の合唱になると、感極まって涙を流されている保護者の方の姿が、何度も目に入りました。おそらく、目の前で歌っている我が子の姿だけを見ているのではないのだと思います。
入学したばかりの頃の姿。
少しずつ成長していった姿。
友達と過ごした時間。
学校生活の中で経験した、楽しかったこと、苦しかったこと。
そうした3年間のさまざまな思い出が、歌声と一緒によみがえってきたのではないでしょうか。
そして、3学年すべての発表が終わった後には、中学3年生全員による学年合唱がありました。
私は、中学3年生の担任団の先生方が座っている近くで、その合唱を聴いていました。
そこで目にしたのが、先生方の涙でした。
生徒たちと一緒に、この3年間を歩んできた先生方です。合唱を聴きながら、生徒たちとのこれまでの日々を思い返しておられたのだと思います。その姿を見て、私自身も胸が熱くなりました。
学校行事というと、どうしても「生徒が頑張るもの」と考えてしまいがちです。
しかし、その裏側には、先生方が生徒たちと一緒に積み重ねてきた時間があります。
そして、その姿を見守ってくださる保護者の皆様がいます。
生徒、教員、保護者。
多くの人が同じ時間を共有し、その一つの舞台をつくり上げている。
それが、今回の合唱コンクールだったのではないかと思います。
中学3年生の皆さん。皆さんにとって、泉ヶ丘校での中学校生活も、いよいよあと少しのところまできました。
今回の合唱で、皆さんが見せてくれた歌声は、きっとこれから先も、それぞれの心に残っていくことと思います。そして、中学1年生、2年生の皆さん。今年の経験を、ぜひ来年につなげてください。今年の先輩たちの歌声を超えること。それだけが目標ではありません。
皆さん自身のクラスで、皆さんにしかつくれない合唱をつくってほしいと思います。
今年の合唱コンクールを通して、泉ヶ丘校の新しい文化が、また一つ積み重なった。
そんなことを感じた一日でした。
素晴らしい歌声を届けてくれた中学生の皆さん、本当にありがとうございました。







