2023/09/10

少しいい話

お休みのひと時をいかがお過ごしだろうか。さて、先日中学生家庭科授業での出来事をご紹介したい。調理実習としてピザを焼くことになった。クラスは全部で8グループ。1グループ4人から5人の男女がワイワイ言いながら、ピザ職人気取りで作業していた。

ある1つのグループのピザが最も早く、しかも完璧な焼き加減で仕上がった。湯気が立ち上るピザを8等分して、先生の所へ持って行こうとした時に事件は起こった。少し慌てていたのか、持って行く途中で、ピザが滑り落ちて、床に全部ぶちまけてしまった。とろとろのチーズにゴミも絡まり、もはや食べられる状態ではなかった。

落とした生徒は、落胆の色を隠せない。そのグループにピザは当たらない。さて、他の7グループはどうしたか?その惨状を間に当たりにして、各グループから2切れずつ、計14切れのピザが供出された。何とか、みんなでピザを食べることが出来た。

さて、ここからである。何日か経過した後、全てのクラスのピザ調理実習が終わった。その時、たまたま、まだ1枚分のピザの材料が残っていたので、一計を案じた先生は、ピザを焼いて、ぶちまけた生徒を呼んで「これをグループのみんなで食べなさい」と告げた。

ピザを受け取ったその生徒は、それをどうしたか?普通、8等分するところを、さらにその半分の16等分、いや?32等分だったかもしれない。それくらい細かく切って、それを教室に持って行こうとしていた。

それを見た先生は「どうして、こんなに細かく分けるの?」と尋ねたところ、「こないだは、皆から助けられたので、今度はクラスのみんなと分け合いたいのです。」と言ったらしい。細かく分けられたピザを、今度は慎重に包んで、教室の方に消えて行った。

こういった優しさと思いやりに先生は、「泉ヶ丘の生徒ってやっぱり素晴らしいですね。なかなかそういった発想にはならないですよ。いい育ち、されてますね」と、私に報告してくれた。それを聞いて、少しウルッとしている自分がいた。