2023/09/12

マスクは着けなきゃいけないんですか?

学級閉鎖を解除して登校するクラスがある一方、新たに学級閉鎖に踏み切ったクラスもある。授業を短縮して展開しているのだが、感染拡大が踏みとどまってくれているという状況は、今のところ感じられない。

そんな中、先週私はある生徒とこんな会話をした。
「おはよう!〇〇君!少しコロナ感染が拡大しているんで、マスクを着けるようにしてくれるか?」と、日ごろ心安く接している彼に、気軽に声をかけた。彼だけではなく、多くの生徒にこうした呼びかけをしている。

それに対して、彼は
「ボクは、マスクをしません!」と、きっぱりと私の瞳を見て言い切った。私はその深い理由を聞きたくて、「そうかあ、まあ、それは個人の判断に委ねられているからだけど、どうしてマスクをしない!って言いきれるの?」と、優しく声をかけた(つもりである)。

「いえ、校長先生、マスクを着ける着けないは、個人の『自由』ですよね。自由であるなら、僕は自分の意志として、マスクを着けないという選択をしたいのです」と。

それに対して、持論を展開する校長。
「確かに、マスクを着ける着けないは個人の意志に委ねられている。着けない『自由』という選択ももちろん認められる。ただし、ボクは、キミたち受験生の安全も大切だし、何よりも10日あまり後に迫った『泉ヶ丘祭』の安全を担保したいんだ。生徒たちに出来るだけいいコンディションで、本番を迎えさせてあげたいんだ」

「・・・・・・・・・」
「もちろん、個人の『自由』というのは尊重されるべきだけれど、ボクはマスクを着用している人は、他者への思いやり、もっと言うなら、かわいい後輩のことをボクも一緒になって考えているよ!という意思表示のように感じているんだ」

「・・・・・・・・・」
「自分の意志や考えといったものは、なかなか『言葉』で伝わりにくいものもあるけれど、その人の態度や姿勢から発せられるメッセージといったものもあるんじゃないかな?ボクはそう思って、マスクを着けているんだよ。ボクの『自由』は、マスクを着けるという選択に使ったんだ。キミの『自由』を決して否定するわけじゃないけれど、『自由』をどう活用すればいいのかということも、これからは少し考えようね。そう思って、呼び止めたんだ。悪かったね。」そう言って彼とは別れた。

昨日、朝の登校時、彼はしっかりとマスクを着けてくれていた。それは、決して校長先生に言われたからではなく、自分の意志としてマスクを着用している。その強い意志の力が、いつものように明るい笑顔で挨拶してくれた瞳の奥に隠されていた。

彼の成長を少し嬉しく感じている自分がいた。