2023/09/13

静と動

放課後の食堂は、高三生の自習室のために開放されている。食堂全体を使って80人ほどの生徒が、参考書片手に受験勉強。難問にぶち当たり、職員室や教科室前の先生に質問に行く姿も、ごく普通の光景。食堂内は、森閑とした静寂が漂う。私が中に入っても、全く微動だにしない様子には、思わずこちらが、その気迫に飲み込まれそうになる。

そっと食堂を出て、厚い壁に覆われた先にある柔道場に向かう。窓から中を覗く。敷き詰められた畳の上、あるクラスが、文化祭の出し物の練習中。アップテンポのロックのリズムに合わせて、ダンスの特訓。躍動感とほと走る汗。どの顔も真剣そのもの。担任の先生の招きもあって、私もそのまま道場内に入る。

あるリーダーの、「校長先生の前で踊ろう!」の掛け声と共に大音響でロックダンスが披露される。少し気迫に押されながらも、しっかり観るべきところは観る。まだ表情に、楽しいという余裕はないが、ひたむきにダンスしている姿に、どこかしら感情移入させられる。終了後、せっかくなんで感想を述べた。

振り付けを間違わないことに一生懸命だけど、まずは音楽の歌詞をしっかりと口ずさむこと。歌いながら踊ることが大切。歌詞をしっかり覚えようね。そんなことを告げた。

感想を述べた後、みんなが「ありがとうございました!」って言ってくれたのは、嬉しかったけど、ちょっと照れ臭くもあった。この子達は、半年前に初めて出会った高校一年生の仲間たち。ついこないだまで、見ず知らずだったはずなのに、すっかり打ち解けて、ワイワイガヤガヤ。そんな姿に、少しウルウルしている自分がいた。

放課後の静と動のコントラスト。それぞれが、自分の目標に向かってひたむきに生きている。このところ毎日、生徒から感動のギフトを頂戴している。ありがとう!